「コンプライアンス」という言葉をテレビや新聞で目にしたことがあると思います。

まだ記憶に新しいところでいえば、昨年は芸能事務所において反社会的勢力との関係などが話題になったこともありましたし、ゴーン被告の問題も事の真偽は別にせよコンプライアンスの問題として捉えられていました。他にも、ベネッセでの顧客情報の流出や、電通での過労死自殺なども企業のコンプライアンスの問題として報道などで過去に話題になりました。

 

この「コンプライアンス」という言葉は、どういった意味をもつのでしょうか。書籍などでは、「法令遵守(順守)」と説明される場合もあります。しかし、近年は、「法令」(法律や省令、政令など国が定めるルール)を守ることだけに止まらず、「倫理規範や社会道徳など、社会からの要請に応えること」を意味すると考えられています。つまり、法律に限られない社会のルールをも適切に守ることが企業には求められていることになります。

 

実際、コンプライアンス違反が生じた場合、法律違反によって刑事罰を受ける、損害賠償を求められる、さらには、行政から事業停止処分を下されるといったことに留まらない大きな事態が生じる場面が最近は散見されます。例えば、インターネット上で、問題を起こした企業や従業員に対する大きな批判や中傷などが生じるいわゆる「炎上」や、ブラック企業としてやり玉にあがるようなこともあります。また、様々なサイトの口コミ評価に批判を書き込まれるといったこともあります。結果として、企業の評価が低下して経営に影響が生じるレピュテーションリスクが顕在化するといったようなことも生じ得ます。

そして、このような事態は、決して大企業だけが問題になるものではなく、中小企業が問題を起こした場合であっても、報道の有無に関わらず、個人のツイッターやSNSへの投稿を通して問題が大きくなっていくような場面もあります。そして、そのようなことが起これば、大企業に比べれば相対的に体力の少ない中小企業の場合には、企業の存続すら危ぶまれるような事態に陥ることも考えられます。

 

コンプライアンス違反が問題になるような場面は、セクハラやパワハラ、飲酒運転、情報漏洩、横領、長時間勤務など様々です。そのような中で、コンプライアンス体制を高めていくためには、通報窓口の設置、社内での規程の整備や継続的な研修の実施による法律やルールへの理解向上、さらには実際に生じた問題への適切な対処と再発防止策の検討など、全方位的に対策を実施していく必要があります。

中小企業にとって細やかな対応は難しい部分もありますが、通報窓口としての活用や、実際に生じた問題に関する原因調査や研修といった部分で、弁護士がお役に立てる部分もあります。

一度、社内で生じている問題を、専門家に相談する機会を作ることをお勧めします。

(弁護士 中小企業診断士 中村紘章)