先日、「自宅にペット58匹、飼育崩壊 虐待容疑で飼い主逮捕 警視庁」というニュースが報道されました。この件では、被疑者の女性が逮捕されることとなったようです。

ここ数年、「多頭飼育崩壊」といったことがネットやテレビで話題になりました。様々な理由で動物たちを無制限に受け入れ、さらに経済的な負担や飼い主の考えから避妊手術をしないこともあり、妊娠や出産もコントロールできず、結果的に世話を出来ないほどの頭数となり、劣悪な環境で飼育することになってしまうことです。

また、新型コロナウイルス感染が広まってからは、自宅にいる時間が増えたことでペットブームが起きている反面(ペットショップでも値上がりしているようです。)、安易に購入したものの思っていたものと違うということで、すぐに飼育放棄に至るような事案も増えているようです(コロナ下のペットブームに懸念 高まる需要、飼育放棄増加―愛護団体「命に責任を」)。

 

動物の飼育に関しては、「動物の愛護及び管理に関する法律」が定められています。

ペットを飼う人の基本的な責任については、第7条に規定があります。

(動物の所有者又は占有者の責務等)

第七条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。この場合において、その飼養し、又は保管する動物について第七項の基準が定められたときは、動物の飼養及び保管については、当該基準によるものとする。

2 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。

3 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない

4 動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない

5 動物の所有者は、その所有する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない

6 動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるものを講ずるように努めなければならない。

7 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めることができる。

 

以上はいずれも努力義務ですが、命を預かる者としては当然守らなければいけない責務です。

 

さらに、今回の事件のように、刑罰が課されるのは、第44条において以下のような場合とされています。

第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。

2 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する

3 愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。

一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる

二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの

 

懲役刑があることからも、非常に重たい罰であることがわかります。特に、上記の第1項(殺傷に関するもの)の罰則の引き上げや、第2項の不適切な多頭飼育による虐待に関する規制は昨年(2020年)6月に新たに盛り込まれたものであり、ペットを社会で守ろうという意識が高まってきていることが背景にあるといえます。

ペットは自分で飼い主を選べません。飼育する以上は、最後まで責任を持つことが大切です。とはいえ、今回の新型コロナウイルスのように、何が起こるかわからない時代になっていることも確かです。法律で規制を強めるだけでなく、保健所の機能強化や民間団体の支援など、やむを得ず飼えなくなってしまった人に飼われていたペットをサポートできるシステムの充実も、これからさらに求められることになりそうです。

(弁護士 中小企業診断士  中村 紘章)