現在、私のところに司法修習生が来てくれています。司法修習とはどんなものなのか、彼が説明してくれましたので、お読みください。

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私は現在73期司法修習生として、湊町法律事務所で司法修習を行っております。

司法修習とは一体何なのか、ご存じない方も多いと思われます。ただ、一昔前にドラマの題材にされたり、最近でも漫画の題材となったりしているので、その単語くらいは耳にしたことがある方もそれなりにいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、私が書籍や他者から聞いた話で知った限り、また自分で経験した限りで司法修習とは何かについてご説明したいと思います。

司法修習を一言でいえば、法曹三者(裁判官、検察官及び弁護士)になるための修業期間といったところです。

法曹三者になるためにはまず司法試験に合格しなければならないところ、司法試験では、争いを解決するために最も適した法律を選択してこれを解釈し、そこに問題文に記載された所与の事実をあてはめて結論を導く、という処理を行うことが求められます。ところが、実務では「問題文に記載された所与の事実」などという都合のいいものは存在しません。一体どの事実を法律にあてはめるのか、というところから問題となります。その「法律にあてはめる事実」を確定させる作業、つまり事実認定を行う必要があるのです。そして、法曹界では事実認定の知識・能力の涵養は基本的に試験合格後に行うことを想定しています(ただし、法科大学院制度においては、その一部を前倒しして法科大学院の教育の中で行うこととしていますが・・・)。その涵養を行うのが、司法修習の場ということになります。また、法律にあてはめる事実は基本的には証拠から認定できるものであることが求められます。このような事実の認定方法に関する考え方は法曹三者共通です。司法修習は、そのような法曹三者共通の考え方を学ぶ場といってもいいと思われます。もちろん、司法修習で学ぶのは事実認定だけということはなく、司法修習は、将来晴れて法曹三者のいずれかになった際、自己の業務の質をより高いものにするため、他の二者がどのように業務を行っているかを学ぶ場でもあるといえます。

それでは、実際にどのようなことが司法修習で行われているのでしょうか。この点につき、私の経験に基づいて述べていきます。

現在実施中である73期の司法修習は令和元年12月初めから始まりました。まずは1か月、埼玉県和光市にある司法研修所というところで、朝から夕方まで、裁判実務や弁護士実務等に関する講義を受けたり、グループディスカッションをしたり、模擬の被疑者取調べを行ったりして、今後の本格的な修習に備えます。これを導入修習といいます。導入修習では全国の全ての修習生(約1500人)が和光に集うため、和光には遠方に住んでいる人のための寮(いずみ寮、ひかり寮)があります。修習が終わった後(つまり夜)、多くの寮生は毎日のように寮内で飲み会を行いますが、この飲み会で同期の絆が生まれるので、飲み会といえども非常に大切な時間です。私は寮に入っていなかったのですが、この飲み会に毎日のように参加し、人間関係の基礎を築きました。おかげさまで「名誉寮生」という称号もいただけました。ちなみに、コロナの問題が始まる前の話です。

導入修習が終わると、修習生は割り当てられた地域(地方裁判所がある地域)に散らばっていき、1月から8月まで、その地で実際に裁判所や検察庁、弁護士事務所等に通い、修習を行います。これを分野別修習といいます。この修習が司法修習の本体部分といってよく、裁判所内の裁判官室や、検察庁内の指導担当検事の部屋、弁護士事務所内の指導担当弁護士の傍といった、法曹三者の実務を肌で感じることができる場所で行われます。そのような場所で、事実認定に関する起案を行ったり、被疑者の取調べをしたり、弁護士の先生に同行させて頂いたり、裁判官、検察官や弁護士と質疑応答をしたりして、法曹三者の実務に関する知識、能力を高めていきます。もっとも、今年はコロナの影響で2か月ほど自宅待機となってしまいました。これに関しては非常に残念でなりません。来年の修習は省略されることなく、フルスケールで行われることを祈っております。

分野別修習が終わると、修習もいよいよ終盤に差し掛かります。次は集合修習といって、また修習生が全員2か月近く和光に集まり、分野別修習で得た知識・能力をブラッシュアップする修習が行われます。というのが原則なのですが、今年はコロナ禍があったため和光には行かず、全てオンラインで行われました。オンラインで刑事事件の模擬公判などを行いましたが、割とスムーズに事が運び、奇しくも公判の在り方に関する将来の可能性を感じさせるものとなりました。

そして集合修習が終わると、選択型修習という、再び裁判所、検察庁、弁護士事務所等に通う分野別修習の補完のような位置付けの修習が1か月ほど行われます(なお、修習地によっては集合修習と選択型修習の順序が逆となります。)。私は現在この選択型修習中で、冒頭で述べました通り、湊町法律事務所にて私の指導担当の土佐一仁先生にお世話になっております(もちろん岩田先生、南先生、中村先生や事務員さんにもお世話になっております!)。

以上が修習の全て・・・といいたいところですが、修習生の気苦労的にはここからが本番です。選択型修習の後、二回試験という最後の関門が待ち受けています。これに合格しないと法曹三者になれません。この試験は年1回行われ、落ちてもまた翌年受けることはできるのですが、3回落ちたらまた司法試験受験からやり直さなければいけないという恐ろしい建付けになっています。1日6時間超の試験が5日に渡って行われ、もちろんお昼休みもありますが、お昼休みにも答案を書いて良いことになっているため結局ほぼ全員がお昼ご飯を食べながら書き続けるという、超ハードな最終関門です。

私も数週間後には二回試験を受験していることと思います。是が非でも合格し、実務家となり、土佐先生初め修習でお世話になった方とお仕事でご一緒出来たら、と願っております。

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いかがでしたでしょうか。修習の実際がよくおわかりになったのではないでしょうか。彼が無事に二回試験に合格することを事務所としても期待しています。

(弁護士 土佐一仁)