未だ、入社にあたって身元保証契約を社員の両親などに依頼している事業者もあります。
その身元保証契約の締結が、本年4月の民法改正によって影響を受けていることをご存知でしょうか。

民法第465条の2
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。

つまり、本年4月からは、身元保証の際に損害賠償額の限度額を定める必要があり、定めない場合には無効となってしまうのです。これまでの身元保証契約では、限度額を定めていた事業者はほとんどいなかったと思われますので、この影響はとても大きいと言えます。
金額については明確にはいいづらいですが、身元保証人が署名をするのを躊躇う金額ではなく、他方で無意味ではない金額の幅で、本人の月収などを基準に定めていくことになるでしょう。

いずれにしても、身元保証人に過度な責任を求めることはできなくなりましたし、手間を考えれば、今後は身元保証人を求めず、緊急連絡先の確認程度にするという選択肢もあり得るかもしれません。

ちなみに、この部分についての改正は、既に締結済みの身元保証契約には影響を及ぼしません。しかし、こういった考え方自体が、既存の契約書の読み方といった部分に影響してくる場合もあります。
少なくとも、今後のために、身元保証契約書は見直しが必要となるでしょう。

弁護士/中小企業診断士 中村 紘章