亡くなった方(被相続人)に相続人がおらず,また遺言もないような場合に,被相続人の遺産(相続財産)はどうなるかご存じでしょうか?

結論からいうと,途中諸々の手続を踏みますが,最終的に相続財産が残った場合には,民法上「国庫に帰属する」ということになっています(民法959条)。つまり,国のものとなります(なってしまいます)。

この点,被相続人に長年連れ添ってきた内縁の夫(妻)や,被相続人の生前,身の回りの面倒を長年見て来た親戚,知人の方などについては,法律上相続人には当たらないため,被相続人の遺産を相続手続によって取得することはできません。しかし,事実上相続人と同視しうるような方や,被相続人に遺言の機会があったならばその者に財産を分け与えたであろう関係にある方に対しては,国庫帰属させる前に,相続財産を分与させることが相当なのではないかという考えから,「特別縁故者」という制度が民法上規定され,そのような方々の保護を図れるようになっています。以下では,特別縁故者制度について,簡単にご紹介します。

1 「特別縁故者」の類型としては,次の3つが規定されています(民法958条の3第1項)

①被相続人と生計を同じくしていた者

②被相続人の療養看護に努めた者

③その他被相続人と特別の縁故があった者

2 特別縁故者からの分与の請求があった場合で,その請求が相当と認められるときは,家庭裁判所は,特別縁故者に対し,被相続人の相続財産の全部又は一部を与えることができます(同2項)。

なお,特別縁故者には,個人だけではなく,法人も該当することがあります。最近の裁判例ですと,障害者支援施設を運営する社会福祉法人が,死亡した入所者の特別縁故者と認められ,相続財産の全額の分与が認められたケースが有名です(名古屋高裁金沢支部平成28年11月28日決定)。

特別縁故者制度については,分与を求める人がそもそも特別縁故者といえるのか,という点が一番の争点となることが多いですので(先ほど紹介した裁判例についても,原審では当該法人は特別縁故者に該当しないとして申立を却下する審判が出されていました。),申立に際しては慎重に検討する必要があります。

(弁護士 岩田 康孝)