【コラム】弁護士数の変化と今後

法律相談やちょっとした仕事の打合せで顔を合わせた方から、「初めて弁護士さんと話しました」「周りに弁護士ってなかなかいないですよね」という話を聞くことがあります。業界の中に身を置いていると、私たちの仕事がどの程度世間から距離があるのかはわからなくなってしまう部分が多々あります。

他方で、「弁護士さんも数が増えて大変のようですね」と言われることもあり、業界の変化に対する関心を持たれている部分もあるようです。

そこで、今回は、弁護士数がどのように変化してきたのか、今後どのような推移を辿る見通しなのか、日本弁護士連合会が発行している「弁護士白書(2019年版)」の統計を引用しながら見ていきたいと思います。

まず、弁護士数の推移です。

弁護士数は、1975年に10,115となり初めて1万人を超えた後、約30年後の2004年に初めて2万人に達しました。その後は、2011年に30,485人、2018年に40,066人と7年毎に大台を超えています。

つまり、現在、弁護士は全国に4万人いる、ということになります。ですから、企業内弁護士や公務員など弁護士の働き方も多様化してきているとはいえ、いわゆる法律事務所へのアクセスは相応に改善してきているといえるでしょう。

弁護士数の増加傾向は顕著ですが、今後の推移は以下のように見積もられています。

 

現在の司法試験合格者数が継続するとすると、弁護士数は、2030年頃に5万人を突破し、2046年にはピークに達する見通しのようです。弁護士一人当たりの国民数を見ると、現在は弁護士一人に対して国民3千人程度ですが、15年後の2035年頃には2千人程度になり、弁護士が社会の中でかなり身近な存在となるとともに、利用者の皆さんからすれば選択肢が増えることになりそうです。

 

社会の変化のスピードがどんどん早くなっていく中、今回の新型コロナウイルスの影響で、社会の在り方や経済の方向性など、予測の難しいことがさらに増えつつあります。とはいえ、私も、その変化に合わせて社会に役立っていけるよう、常に柔軟な考えと姿勢を持ち続けたいと思っています。

(弁護士/中小企業診断士 中村紘章)