夏らしい(?)テーマを。

 

「事故物件」という言葉を聞かれたことのある方は多いかと思います。対象物件内で,自死,事故死,殺人などのトラブルがあった物件を指す言葉です。法的には「心理的瑕疵」がある物件などと言われます。物件そのものに物理的な問題が無いのに,使用するに心理的嫌悪を感じさせる欠陥を指します。要するに幽霊が出そうな気がするとか,縁起が悪くてよくないことが起きそうっていう気になりそうな物件ですかね。

 

さて,賃貸人(貸主,大家さん)が事故物件であることを故意に隠して賃貸していた場合,賃借人(借主)は,賃貸人に対して損害賠償を請求することができる場合があります。

 

たとえば,大阪高裁平成26年9月18日判決は,1年数ヶ月前に居住者が自死していたことを知っていたのに告知せずに賃貸借契約を結んだことが,賃貸人の不法行為に該当すると判断し賃借人からの損害賠償請求を認めました。信義則上,賃貸人には心理的瑕疵の事情を告知する義務があったのに,故意に告知しなかったのは賃借人の権利を侵害したと判断されたのです。

 

もっとも人が亡くなっているからといって常に賠償請求が認められるとは限りません。

 

アパートの下の階の部屋で半年前に住人が自然死していたことを告知されなかったとして賠償請求をした事案では,借りた部屋そのものでなく階下の部屋であることや,事故死等でなく自然死であることなどを考慮すると心理的瑕疵に該当しないと判断されて賃借人の請求は認められませんでした(東京地裁平成18年12月6日判決)。

 

請求が認められるか,認められないかは,原因となる事故等の内容や状況,事故等の発生から経過した期間,賃貸の目的(たとえば,居住目的と店舗目的では違う判断がなされる可能性があります。),物件の立地や賃料など,関連する事情を総合的に考慮して決められているようです。

 

なお,宅建業者に仲介されて賃貸借契約を締結していた場合,宅建業者に対して説明義務違反に基づく賠償請求をすることも考えられます。

 

もしも知らずに事故物件に居住していることがわかった場合,いちど弁護士に相談してみはいかがでしょうか。

(弁護士 土佐一仁)